Genomine / コスモ・バイオ ID: J00543

質量分析受託サービス ID: J00543

サービスについて

概要

プロテオーム解析には二次元電気泳動と、質量分析という二つの重要な技術があります。二次元電気泳動法は等電点電気泳動とSDS電気泳動のニつを組み合わせることにより、細胞内の全タンパク質を数千以上にもおよぶスポットに分離することができます。それぞれのスポット中のタンパク質をトリプシンで分解し、質量分析で解析することでペプチドの質量や部分配列情報が得られます。これらの情報をデータベース検索することでタンパク質の同定や様々な翻訳後修飾の分析が可能です。

Genomine社は国内外で多数の解析実績を有しており、二次元電気泳動による試料間の比較解析から質量分析計によるタンパク質の同定までプロテオミクス研究を推進する解析一式をご提供致します。

タンパク質の同定を目的とした質量分析方法の選択方法
MALDI-TOF サンプルの由来生物がゲノムデータベース公開済みで、単一のタンパク質同定が対象です。シングルバンドやスポットが綺麗に切り出せることが重要です。
MALDI-TOF/TOF PMF法によって分析された試料をMS/MS分析するもので、サンプルの由来生物がゲノムデータベースが公開されている、あるいは公開されていない単一もしくは複数タンパクの同定が対象です。LC-MS/MSに比べてバンドやスポットが薄くタンパク質量が充分に多くないサンプルはこの手法を選択しますが、電気泳動してCBB染色できるほどのタンパク質量をお勧めします。
LC-MS/MS
(Nano LC-MS/MS)
タンパク質の由来生物がゲノムデータベースが公開されている、あるいは公開されていない単一もしくは複数タンパクの同定が対象です。試料に含まれるタンパク質量が多いほどタンパク質の種類をより多く同定することが可能であり、MALDI-TOF/TOFより高感度の検出ができます。バンドやスポットがCBB染色で明確に確認できるほどのタンパク質量を必要とします。

MALDI-TOF MASSによるPMF解析

MALDI-TOF MASSとはマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI:Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)と飛行時間型(TOF:Time Of Flight)質量分析装置(MS)の組み合わせにより、高分子の質量を決定することができる手法です。MALDI-TOF MASSによるPMF(Peptide Mass Fingerprint)解析はトリプシン処理によって切られたペプチドフラグメントの質量を測定し、これをMascotサーチすることによりタンパク質を同定する解析法です。本サービスはGenomic sequenceが完了している生物種またはNCBIに登載されているタンパク質の同定に有効です。(fig.1
  • 解析内容
    ・PMF解析によるタンパク質同定
    ・MALDI-TOF MSによるゲル中タンパク質の解析(ゲルの脱色、タンパク質のゲル内消化、MS分析、データベース検索が含まれます)
    ・現在、データベースはSwiss protを使用して検索しております。
  • 装置
    Microflex LRF 20(Bruker Daltonics)
  • サンプル形態
    ・CBB染色もしくは銀染色によって染色したゲルから切り出したバンド(もしくはスポット) を1.5mLのエッペンチューブに入れてご送付下さい。
    ・CBB染色の場合はバンド1本(もしくはスポット1つ)、銀染色の場合はバンド3本以上(もしくはスポット3つ以上)を目安にお考え下さい。
  • 納品物(fig.2
    データはFTPサーバーにアップされますので、そこからダウンロードして頂きます。
    ・Mascot searchによるタンパク質同定結果2種類(Mascot searchの生データ;htmlファイル)
    ・MALDI-TOF MSのスペクトルデータ(gifファイル)
    ・タンパク質同定結果の一覧(エクセルファイル)
    ・解析方法、結果の見方を記載した報告書(PDFファイル)

MALDI-TOF Mass Spec for Modification Analysis

  • 解析内容
    ・MALDI-TOFを利用してタンパク質の翻訳後修飾を分析します。
    ・MALDI-TOFでゲル中のタンパク質の修飾についてMS分析を行います。
    ・分析には予め予測される修飾の種類をご連絡いただく必要が御座います。
    ・下記の「タンパク質翻訳後修飾の種類」から、ご希望の項目をご選択ください。

    * 糖鎖修飾は分析対象外となりますのでご注意ください。
    * 修飾の正確な部位は特定できません。
    * 選択項目は1サンプルあたり最大9項目となります。それ以上をご指定の場合は2サンプル分としてご依頼を承ります。
    (例:12項目の場合は9項目と3項目の2サンプル分、20項目の場合は3サンプル分となります)。
    *現在、データベースはSwiss protを使用して検索しております。
    タンパク質翻訳後修飾の種類
    Acetyl (K) ICPL:2H(4) (K)
    Acetyl (N-term) ICPL:2H(4) (Protein N-term)
    Acetyl (Protein N-term) iTRAQ4plex (K)
    Amidated (C-term) iTRAQ4plex (N-term)
    Ammonia-loss (N-term C) iTRAQ4plex (Y)
    Biotin (K) iTRAQ8plex (K)
    Biotin (N-term) iTRAQ8plex (N-term)
    Cabamidomethyl ( C ) iTRAQ8plex (Y)
    Carbamyl (K) Label:18O(1) (C-term)
    Carbamyl (N-term) Label:18O(2) (C-term)
    Carboxymethyl ( C ) Met->Hse (C-term M)
    Cation : Na (C-term) Met->Hsl (C-term M)
    Cation : Na (DE) Methyl (C-term)
    Crotonyl (K) Methyl (DE)
    cysTMT6plex ( C ) Methylthio ( C )
    Deamidated (NQ) mTRAQ (K)
    Dehydrated (N-term C) mTRAQ (N-term)
    Dehydro (C) mTRAQ (Y)
    DiLeu4plex (K) mTRAQ:13C(3)15N(1) (K)
    DiLeu4plex (N-term) mTRAQ:13C(3)15N(1) (N-term)
    DiLeu4plex (Y) mTRAQ:13C(3)15N(1) (Y)
    Dioxidation (K) mTRAQ:13C(6)15N(2) (K)
    Ethanolyl ( C ) mTRAQ:13C(6)15N(2) (N-term)
    ExacTagAmine (K) mTRAQ:13C(6)15N(2) (Y)
    ExacTagThiol (C) NIPCAM (C)
    Formyl ( N-term) Oxidation (HW)
    Formyl (Protein N-term) Oxidation (M)
    Gln->pyro-Glu ( N-term Q) Phospho (ST)
    Gln->pyro-Glu ( N-term E) phospho (Y)
    Guanidinyl (K) Propionamide ( C )
    ICAT-C (C) Pyridylethyl ( C )
    ICAT-C:13C(9) ( C ) pyro-carbamidomethyl (N-term C)
    ICPL (K) sulfo (STY)
    ICPL (Protein N-term) TMT2plex (K)
    ICPL:13C(6) (K) TMT2plex (N-term)
    ICPL:13C(6) (Protein N-term) TMT6plex (K)
    ICPL:13C(6)2H(4) (K) TMT6plex (N-term)
    ICPL:13C(6)2H(4) (N-term)  
    ICPL:13C(6)2H(4) (Protein N-term)  
  • 装置
    Microflex LRF 20 (Bruker Daltonics)
  • サンプル形態
    CBB染色もしくは銀染色によって染色したゲルから切り出したバンド(もしくはスポット)を1.5mLのエッペンチューブに入れてお送り下さい。
  • 納品物
    ・データはFTPサーバーにアップされますので、そこからダウンロードして頂きます。
    ・修飾の候補リスト
    ・MALDI-TOF MSのスペクトルデータ(gifファイル)
    ・解析の報告書

    納品データ例

Whole Protein MASS SPEC Analysis

  • 解析内容
    トリプシン処理を行わずに質量分析を行います。(全長の質量を測定する場合に有効です)
  • 装置
    Autoflex speed MALDI-TOF/TOF (BRUKER)
  • サンプル形態
    0.7mg/mL以上の濃度のタンパク質溶液 (buffer 組成は必ず表記して下さい。)を20μL以上、1.5mLのネジ蓋式のチューブに入れてお送り下さい。タンパク質の分子量は80KDa以下が測定に適切です。それ以上の分子量の場合は、タンパク質の特性によって測定しにくい場合がございます。また、本解析はMALDI-TOF/TOF又はMALDI-TOFを使用して解析しますが、下限の検出限界が3,000Da程度になります。 ご不明な点がございましたら、ご相談下さい。
  • 納品物
    ・データはFTPサーバーにアップされますので、そこからダウンロードして頂きます。
    ・MALDI-TOFを利用するPSD(POST-SOURCE DECAY)モード方式で溶液中のタンパク質全体の分子量を測定した図
    ・解析の報告書

    納品データ例

LC-MS/MS MASS SPEC Analysis (Nano LC-MS/MS)

LC-MS/MSは高速液体クロマトグラフ(HPLC)と質量分析計(MS)を結合させた装置です。まず、サンプルをLC部で親和性の差によって成分ごとに分離し、試料成分を1段目のMS でイオン化(ESI法)し、質量ごとにわけて(プレカーサイオン)、さらに分離されたイオンを衝突室 (コリジョンセル) 内でアルゴンガスに衝突させてイオンを解離させます(プロダクトイオン)。そのイオンを2段目のMSで検出する手法です。
本サービスではタンパク質をTrypsinで分解し、そのペプチド溶液をLC/MS/MSに供します。得られたMS/MSデータを用いてMascot検索を行い、その結果をご報告いたします。ゲノムデータベースが公開されていない種由来のタンパク質を LC-MS/MSで解析する場合は、ゲノムが類似している生物種のデータベースからアミノ酸配列が類似しているタンパク質として同定できる可能性がございます。(fig.3
  • 解析内容
    ・LC-MS/MS方式のペプチドの断片化
    ・LC-MS/MS によるゲル中タンパク質の解析(ゲルの脱色、タンパク質のゲル内消化、MS分析、データベース検索を含みます)
    ・現在、データベースはSwiss protを使用して検索しております。
  • 装置
    Chromatography:Waters nanoUPLC
    Mass Spectrometry:Finnigan LCQ iontrap(Thermo scientific)
                                  Positive ion mode, scan range(m/z)= 400 – 2000Da
    Column:ACQUITYUPLC BEH C18 1.7um, 100um x 100mm
    Solvent:DW:Acetonitrile(0.1% Formic acid)
    Flow rate:0.4uL/min
    Search program: Mascot search engine(Matrix Science Limited, UK)
  • サンプル形態
    ・CBB染色もしくは銀染色によって染色したゲルから切り出したバンド(もしくはスポット) を1.5mLのエッペンチューブに入れてお送り下さい。
    ・CBB染色で確認できる量を推奨しております。
  • 納品物
    ・データはFTPサーバーにアップされますので、そこからダウンロードして頂きます。
    ・Mascot searchによるタンパク質同定結果1種類(Mascot searchの生データ;htmlファイル)
    ・タンパク質同定結果の一覧(エクセルファイル)
    ・解析方法、結果の見方を記載した報告書(PDF ファイル)

    * 生データが必要な場合は分析を依頼される際に、依頼フォームにその旨をご記入下さい。
    * 現在、Mascot searchの検索データベースはSwiss protを使用しております。

    納品データ例

MALDI-TOF/TOF(MS/MS)

MALDI-TOF/TOFはイオン源としてマトリックス支援レーザー脱離イオン源を用い、2台の飛行時間型質量分析計を直列に接続したタンデム型の質量分析計です。MALDI-TOF解析から出たMASSに対してもう一度MS/MS解析をし、アミノ酸単位まで切られたmass値を測定し、Mascotサーチによってタンパク質を同定する解析法です。Genomic sequenceが完了していない生物種や数個のタンパク質が混ざっているサンプルの同定に有用に利用される方法です。ゲノムデータベースが公開されていない種由来のタンパク質をMALDI-TOF/TOFで解析する場合は、ゲノムが類似している生物種のデータベースからアミノ酸配列が類似しているタンパク質として同定できる可能性がございます。MS解析の結果を論文に使用する場合は、近頃の著名なジャーナルではMALDI-TOF/TOF法やLC-MS/MS法からのデータのみを認める状況です。

  • 解析内容
    ・ペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)によるタンパク質同定
    ・MALDI-TOF/TOF(MS/MS)を利用したMS/MS解析
    ・MALDI-TOF/TOF (MS/MS) によるゲル中タンパク質の解析(ゲルの脱色、タンパク質のゲル内消化、MS 分析、データベース検索が含まれます)
    ・現在、データベースはSwiss protを使用して検索しております。
  • 装置
    Autoflex speed MALDI-TOF/TOF(BRUKER)
  • サンプル形態
    ・CBB染色もしくは銀染色によって染色したゲルから切り出したバンド(もしくはスポット)を 1.5mLのエッペンチューブに入れてお送り下さい。
    ・CBB染色の場合はバンド1本(もしくはスポット1つ)、銀染色の場合はバンド3本以上(もしくはスポット3つ以上)を目安にお考え下さい。
  • 納品物
    ・データはFTPサーバーにアップされますので、そこからダウンロードして頂きます。
    ・Mascot searchによるMSの結果に基づいたタンパク質同定結果1種類(Mascot searchの生データ;htmlファイル)
    ・Mascot searchによるMS/MSの結果に基づいたタンパク質同定結果2種類(Mascot searchの生データ;htmlファイル)
    ・タンパク質同定結果の一覧(エクセルファイル)
    ・MALDI-TOF MSのスペクトルデータ(gifファイル)
    ・解析方法、結果の見方を記載した報告書(PDFファイル)

    納品データ例

MS分析用サンプル準備の手順

  1. サンプル調製の際はケラチン混入を防ぐため必ず手袋を着用して下さい。
  2. Gel(2-DE gel 又は SDS-PAGE gel)をDW(チリなどの混入が無いようにおねがいいたします)で3回洗浄してください。
  3. 分析するspot(又はband)を汚染されてない清潔なカミソリ、メスの刃を用いて切り抜いてください。
    *スポット周辺の余分なゲルは出来るだけ除いてください。
  4. 切り出したゲル片を1.5mLのエッペンチューブに入れしっかりとフタをしてください。
    *チューブにはバッファーや水などは入れずゲル片だけを入れてください。乾燥させたバンドでも構いません。
【サンプル準備の注意事項】

  • 分子量20kDa以下の小さいタンパク質は質量分析に適した長さのトリプシン断片が得られない場合があり、タンパク質を同定できない可能性が御座います。Mascot searchに使用されるトリプシン断片のサイズは800~3,500Daです。
  • 銀染色で質量分析サンプルを調製する場合は、グルタルアルデヒドが含まれていない試薬をご利用ください。グルタルアルデヒドが入っている場合はタンパク質がゲルに架橋されるため、分析が行えなくなります。
  • 電気泳動ゲルからPMF分析を行う場合、最低でもCBB染色で目視できる程度のタンパク量が必要です。バンドであれば1本、スポットであれば2~3個を目安にご提供ください。銀染色で明瞭に見えている場合でも実際にはタンパク質量不足となる可能性もございますので、できるだけCBB染色での確認をお勧めいたします。
  • 脱色(destaining)は行わなくても結構です。
  • 還元処理、アルキル化処理は必要ございません。
  • Whole Protein MASS SPEC Analysisのサンプル調整方法につきまして、
    ・Bufferは100mM Ammonium bicarbonateを推奨いたします。
    ・0.7mg/mL以上の濃度のタンパク質溶液(buffer 組成は必ず表記して下さい)を 20μL以上、
     1.5 mLのエッペンチューブもしくはネジ蓋式チューブに入れて常温または冷蔵にてご送付下さい。
    ・タンパク質の分子量は80KDa以下が測定に適しております。
     それ以上の分子量の場合は、タンパク質の特性によって測定しにくい場合がございます。
    *塩濃度が50mM以上の場合は解析に大きな影響を与えるため、Bufferは可能な限り塩濃度無しでご調製ください。

*ヒト由来サンプルは提供者のインフォームド・コンセントが得られていることが前提となります。提供者の個人情報が特定できないようにサンプル名を匿名化して下さい。


サンプルのご送付

SDS-PAGE 後のバンド、二次元電気泳動後のスポット、またはタンパク質溶液(Whole Protein MASS SPEC Analysisの場合)を、エッペンチューブもしくはネジ蓋式のチューブに入れ、常温または冷蔵にてご送付下さい。また、電気泳動写真と切り出した バンド(もしくはスポット)のおおまかな分子量を記載した資料をプリントアウトして頂き、サンプルに同封して下さい。分子量はタンパク質同定のためのデータベース検索の際に参考に致します。

分析サービスの方針

  • 情報の守秘
    GENOMINE社はサンプルを提出された組織(機関、会社)との間に秘密保持契約がなくても、提供されたサンプルの情報についての守秘義務を有します。 書面での締結が必要な場合はお問い合わせ下さい。
  • サンプルの廃棄
    GENOMINE社は受託依頼者から依頼されたサンプルについての分析を終了した後、残存するサンプルがある場合には、6ヶ月間またGelの場合は1年間の保管の後に廃棄することを原則とします。
  • 作業費の請求
    未同定の場合も上記掲載の分析費用と送料が発生いたします。

ご注文に関して

お問い合わせフォーム よりお問い合わせください。

参考価格・納期

分析項目 価格(税抜)(*1)(1検体) 納期(*2)(営業日)
MALDI-TOF MASSによるPMF分析 ¥30,000 5日
MALDI-TOF MASS SPEC FOR Modification Analysis ¥60,000 7日
Whole Protein MASS SPEC Analysis ¥30,000 7日
LC-MS/MS MASS SPEC ANALYSIS (Nano LC-MS/MS) ¥76,000 15日
MALDI-TOF/TOF(MS/MS) ¥74,000 7日

*1 ボリュームディスカウント実施中!!
  10~19検体:10%OFF / 20~29検体:20%OFF / 30検体以上:30%OFF
  検体の委託先への送付料金として¥30,000(税抜)を別途申し受けます。
  本サービスでは最低発注数量4検体となりますので、4検体以上でご注文ください。
*2 繁忙期には記載の納期よりお時間を頂く場合がございますので、お急ぎのお客様はご発注前にお問い合わせ下さい。

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