概要
ATCC
®では、ショートタンデムリピート(STR:Short-tandem repeat)解析による細胞のプロファイリングに基づく、ヒトの細胞認証サービスをご提供しています。実験精度の確立や論文投稿時の信頼性の裏付けとして、世界的に定評のあるATCC
®のSTRプロファイリング細胞認証サービスをご利用いただくことで、お手持ちの細胞株について、細胞誤認の有無を定期的に検証することをお勧めします。
ショートタンデムリピート(STR:Short-tandem repeat)と細胞認証とは
ショートタンデムリピート(STR:Short-tandem repeat)は、細胞核やオルガネラのゲノム上にある、数塩基の単位配列の繰り返しよりなる反復配列で、マイクロサテライト(microsatellite)または単純反復配列(simple sequence repeat; SSR)とも呼ばれます。この配列は、遺伝子として機能しないイントロンに存在し、その短い配列の反復頻度について個体差があるため、科学捜査における個人のDNA型の決定にも利用されています。
ATCC®のSTRプロファイリングへの取り組み
1986年以来、ATCC
®はSTR解析技術とヒトのSTR解析データの利用において、リーダー的存在となっています。ATCC
®では、保有するヒト細胞株に対し定期的にSTR分析を行い、得られたデータからそれらのSTRプロファイルの検索が可能なオンラインデータベースを構築しました。ATCC
® STRプロファイルデータベースは、ATCC
®が保有する何百ものヒト細胞株に対し、STRプロファイルクエリを相互参照するための使いやすい比較ツールとして、産業界や学界の研究者に提供されています。STRプロファイリング細胞認証サービスは、研究者が保有または作製された細胞のプロファイルをこの膨大なデータセットに照合することにより、包括的な解析を行うサービスです。
細胞認証の必要性について
歴史的に、細胞株の誤同定、クロスコンタミネーションまたは遺伝的ドリフトによって、矛盾や無効な研究が数多く発生しました。ショートタンデムリピート(STR)プロファイリングを用いたヒト細胞株の同一性の検証は、有効かつ再現性があり、そのためインパクトのある研究を行う上で必須となっています現在、Natureを含む70のジャーナルと機関が研究者の結果公表に当たり、細胞認証の実施を強く推奨または要求しており、またその数も増え続けています。さらに2016年以来、アメリカ国立衛生研究所(NIH)では、助成金の受理に際して細胞株の認証を条件付けています。
ご利用の推奨時期
STRプロファイリングには高額な装置が必要となり、またそれらの装置の操作およびその結果とSTRデータベースとの照合して正確に解析するための経験と熟練が伴います。STRプロファイリング細胞認証サービスをご利用いただくことで、解析コストを削減し、さらにSTRプロファイリング細胞認証解析結果に対する高い信頼性が得られます。ATCC
®では、以下のような事例に際して、本サービスのご利用をお勧めしています。
- 保管されている細胞の定期的な検証
- Nature姉妹誌などの論文投稿前
- 細胞株の譲渡前、または分譲を受けた時
- 助成金申請前