概要
エンドトキシンが生体内に混入すると極めて微量でも発熱を引き起こすことから、エンドトキシン試験は注射剤や医薬品医療機器関連のような体内にはいる物の品質管理に用いられてきました。最近では再生医療分野においても品質管理の一環として測定が必要となっており、その重要性は増しています。
富士フイルム和光純薬は長年にわたりエンドトキシン試験に必要な試薬と機器の研究開発から販売まで行ってきた経験と実績を活かし、信頼性のある測定を受託サービスとしてご提供いたします。
お客様のご要望に応じた実験計画をご提案し、試験に進みます。既に測定方法を確立されているお客様にはエンドトキシン測定を代行致します。局方に準拠した試験にも対応致します。
各測定方法
ゲル化法(fig.1)
- 限度試験
サンプルがエンドトキシン規格値を超えるエンドトキシンを含むか含まないかを判定する試験です。
- 定量試験
ゲル化のエンドポイントを求めることによりサンプル中のエンドトキシン濃度を測定する試験です。
比濁法(fig.2)
- エンドトキシンによるライセート試薬の活性化をゲル化に伴う濁度変化で検出します。定量的な測定が可能ですが、濁りのある検体の場合は正確な測定が出来ません。
比色法(fig.3)
- エンドトキシンによるライセート試薬の活性化を発色合成基質が切断されることで検出します。定量的な測定が可能ですが、405nm付近の吸光度変化で測定するため405nm付近に吸光を持つ検体の場合は正確な測定ができません。
サービスの流れ
- お問い合わせ・ご相談
- 詳細お打ち合わせ・対応可否の回答
- お見積り・試験方法提示
- ご注文・試験実施
- ご報告
注意事項
エンドトキシン測定はサンプル中に含まれる物質や温度、容器など様々な条件から影響を受けます。それらが原因となって測定結果に影響を及ぼす可能性があります。
<注意すべき点>
- 使用器具
エンドトキシン試験を行う際に使用する容器・器具はエンドトキシン、β-グルカンフリーのものを使用しなければなりません。250℃以上で30分以上の乾熱がエンドトキシン不活化には必要ですので、通常は乾熱滅菌したガラス器具を使用します。
微量に溶出する金属イオン(Fe、Al、Ga、Cr等)が試験に影響するので、金属製器具の使用は避けてください。使い捨てのプラスチック器具等は、メーカーによる保証のあるものを除いて、選定の際は下記事項をご確認ください。
- エンドトキシンの汚染がない
- エンドトキシンが吸着しない
- 試験結果に影響する溶出物がない
また、初めて選んだ製品の場合、ガラス製器具と比較・確認を行うのがベターです。
- サンプルの性質
エンドトキシン試験を実施する際には、サンプルが試験におよぼす影響(反応干渉因子)に注意が必要です。
ヒトライセート試薬に影響するもの |
- 蛋白変成作用のあるもの(酸、アルカリ、尿素、界面活性剤、有機溶剤)
- プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤
- キレート剤(反応に必要なCaやMgが捕捉される)
- 比色法の場合、着色物質(405nm付近に大きな吸収を持つ物資)
- 比濁法の場合、濁り
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エンドトキシンに影響するもの |
- 金属イオン(Fe、Al、Ga、Crイオン等…μM程度でも影響あり)
- 界面活性剤
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上記のような性質を持つ、または含む場合、正確な測定ができない可能性があります。
サンプルの影響の有無は既知量のエンドトキシンを添加した検体を測定し、添加したエンドトキシン量の回収率を求める試験によって判断します。局方では反応干渉因子試験と呼ばれている試験です。
比色法・比濁法(光学的定量法)では添加したエンドトキシンの回収率が50~200% の範囲であればサンプルは測定に影響せず、サンプルはその濃度でエンドトキシン測定に影響を与えないといえます。サンプルの影響が見られた場合、サンプルを希釈して測定すると影響を軽減することができます。
ただし、サンプルを希釈すると原液換算(希釈する前の液)で検出できるエンドトキシンの濃度が高くなってしまいます。希釈可能な倍数(最大有効希釈倍数)は、検出したいエンドトキシン濃度と用いるライセート試薬の検出感度によって決まります(反応干渉因子試験や最大有効希釈倍数の詳細は、日本薬局方のエンドトキシン試験法を参照してください)。
一方ゲル化法では、反応干渉因子試験に用いるサンプル溶液は、用いるライセート試薬が必ず陰性判定である事が必須です。すなわち、使用するライセート試薬の検出感度以上のエンドトキシンが混入している場合この試験は実施できません。
エンドトキシンが混入していないサンプルの入手が困難な場合は、原則としてゲル化法ではなく光学的定量法を選択します。 |