概要
培養細胞、体組織及び粗精製タンパク質に含まれる糖鎖(
N-結合型糖鎖、
O-結合型糖鎖、糖脂質)について、グライコブロッティング法を用いて解析します。
グライコブロッティング法とは(fig.1)
化学選択的な糖鎖捕捉反応に基づいて、生体試料由来糖鎖の網羅的かつ定量的なプロファイル取得を大幅に高速化する技術です。ヒドラジド基を有するビーズで糖鎖だけを捕捉し、ビーズ上でメチル化、ラベル交換反応を行うことで、迅速な糖鎖解析を可能とします。
特長
- 培養細胞、体組織、粗精製タンパク質から、迅速に網羅的かつ定量的なN-結合型、O-結合型糖鎖および糖脂質の解析ができます。
- 糖鎖を化学選択性の高い糖鎖捕捉ビーズBlotGlyco H®上に結合させることにより、他の夾雑物質存在下でも、糖鎖を選択的に結合できます。
- 網羅的解析によるバイオマーカー検索、または発生段階や薬剤処理前後などで変動する糖鎖マーカーの解析に有用です。
- 内部標準オリゴ糖を用いることで各糖鎖の定量も可能です。
サービス内容
装置:質量分析計:5800 MALDI TOFTOF システム(株式会社サイエックス)
- N-結合型糖鎖解析
解析可能な検体・必要量
・血清・血漿(ヒト):100μL
・血清・血漿(マウス):50μL
・細胞:10cm dish1枚分
・組織:10mg
・精製タンパク質:50μg
・FFPE切片:1cm2、3μm×3
- O-結合型糖鎖解析
解析可能な検体・必要量
・血清・血漿(ヒト):100μL
・血清・血漿(マウス):50μL
・精製タンパク質:100μg
- 糖脂質
解析可能な検体・必要量
・血清・血漿(ヒト):100μL
・細胞:10cm dish1枚分
・組織:10mg
*
O-結合型糖鎖の含有量が少ない試料の場合、検出できない場合があります。
* 充分な試料量があっても未知の糖で構成されている糖鎖の場合は、質量分析計(MS)で質量を求めてもこれまでの糖鎖情報が使えないため、
推定構造が得られない場合があります。
* 臨床検体については、感染症法で定められた特定病原体、およびBSL3以上の検体を受け入れることができません。
医化学創薬(株)では国立感染症研究所のBSL分類に準じています。
解析例
- 神経細胞の分化と糖鎖変化 ( Amano. M., et. al, Mol Cell. Proteomics . 9, 523~537 (2010))(fig.2)
- 健常ヒト尿中O-結合型糖鎖の解析例(fig.3)
- ヒト血清N-結合型糖鎖プロファイル(Miura. Y., et al., Molecular Cellular Proteomics 7, 370~377 (2008)).(fig.4)
参考文献
- Nishimura, S., et al., Ange. Chem. Int. Ed. 44, 91~96 (2005).
- Ishimura, H., et al., Clin. Cancer Res. 12, 2506~2511. (2006)
- Kurogochi, M., et al., Angew. Chem. Int. Ed. 46, 8808~8813 (2007).
- Furukawa, J., et al., Anal. Chem. 80, 1094~1101 (2008).
- Amano, M., et al., Mol. Cell. Proteomics 9, 523~537 (2010).
- Nagahori, N., et al., ChemBioChem. 14, 73~82 (2013).