概要
富士フイルム和光純薬社で発売しているADRAキットを用いて、皮膚感作性の評価試験を行います。
動物代替実験試験法の1つとして従来用いられていた試験(DPRA法)より高感度で、96-well plateを用いてハイスループットに評価可能です。
蛍光検出器を用いることで混合物での測定も可能になっております。
皮膚感作性有無評価の1st screeningとして、本試験をご活用ください。
富士フイルム和光純薬社ADRAキットについては
こちらから
ADRA法とは
皮膚感作性とは、化学物質と皮膚の接触による接触性皮膚炎を起こす性質であり、化粧品など化学製品を安全に使用するため、正確な試験評価が求められています。
ADRA(Amino acid Derivative Reactivity Assay)はNAC(N-(2-(1-naphthyl)acetyl)-L-cysteine)とNAL(α-N-(2-(1-naphthyl)acetyl)-L-lysine)を用いた、化学物質の皮膚感作性評価試験の動物実験代替試験法です。
OECD(経済協力開発機構)が定義する、皮膚感作性の有害性発現経路の4つのKey event(KE)のうち、感作性物質とタンパク質が結合し、複合体を形成する過程(KE1)での反応性の評価に使用できます。
OECD Test Guideline 442Cに収載されています。
皮膚感作性評価メカニズム
皮膚感作性の発現は感作性物質とタンパク質が結合し複合体を形成することから始まります。
(Key Event 1)
この結合は、タンパク質に含まれるシステインのチオール基またはリジンのアミノ基との共有結合によって発生します。ADRAは、タンパク質の代わりにNAC(システイン誘導体)、NAL(リジン誘導体)を用い、これらと被験物質の反応性からタンパク質との結合性を予測します。
反応性の評価は、NAC・NALの溶液と被験化合物の溶液を混合し、25℃で24時間反応させたのち、反応液中に残存するNACとNALそれぞれの濃度をHPLCで定量し、その結果を元に皮膚感作性を評価します。
p-ベンゾキノンについては、NAC・NAL共にピーク面積の減少が確認出来ているため、皮膚感作性陽性と判断。
グリセロールについてはNAC・NAL共にピーク面積の減少が見られないため、皮膚感作性陰性と判断。