概要
OptiSeq
TM NGSプラットフォームは、遺伝子変異の超高感度検出を可能にすることで、シークエンシング深度を最大100倍まで縮小し、コストと解析時間を大幅に削減します。本プラットフォームは野生型のテンプレートのみにハイブリダイズする独自のXNAテクノロジーを使用しており、変異型のみが増幅され、配列決定されます。
OptiSeq
TM プラットフォームで行われる500シークエンスリードは、本プラットフォームを使用しない場合の50,000リードに相当します。
XNA分子クランプテクノロジーとは
XNA、いわゆるゼノ核酸は、ワトソンークリック塩基対により標的DNAにハイブリダイズでき、さらに修飾された化学骨格を有する革新的な新規核酸分子オリゴマーです。XNAオリゴマーは、標的となる正常なDNAへのハイブリダイズに非常に有効で、qPCRの分子クランプとして、または核酸標的配列の検出のための高度に特異的な分子プローブとして使用されています。XNAは、100%相補的な野生型配列に強く結合し、DNA伸長からDNAポリメラーゼを阻害します。XNA-変異型DNAの二本鎖の場合は、ミスマッチとなり不安定な構造となるため、PCR反応時に鋳型鎖から脱落し、変異型標的配列のみが増幅されます。(
fig.1)
XNA分子クランプアッセイは、リキッドバイオプシーサンプルに対して非常に高感度です。検出限界(LOD)は5ngのctDNAを使用して0.1%(7,8コピーの変異型DNA)に達することがあり、これは2mLの血液サンプルに相当します。
また、循環性腫瘍細胞(CTC)の存在は、複数のがんにおける低い生存率と関連していることが判明しており、CTC閾値を好ましくないレベル(≧5CTC/7.8mLの血液)から好ましいレベル(<5CTC/7.5mLの血液)に下げることで生存率が向上するため、血中のCTC数は、がんの治療反応の予測因子として使用することができます。このことから、XNAテクノロジーは、がんの変異を発見し、がん治療のために有用な情報を集める効果的な手段になる可能性を持っています。
がんの精密医学においては、成長経路や腫瘍抑制遺伝子などのがんドライバー変異を見つけることで、これらの変異が異なる種類のがんの早期発症に寄与することが一般に知られており、重要となっています。これらの変異の検出は、早期のがん検出に不可欠なだけでなく、付随する診断ツールとしてのがん治療のための戦略を提供するためにも不可欠です。
特長
- 超高感度:0.1%以下の変異検出能力
- サンプルフォーマット:血液サンプル(cfDNA、ctDNAなど)に対応
- 素早い解析スピード:サンプル調整からレポートまで、7~10日程度の合理化されたワークフロー
- 正確:変異対立遺伝子のリード強化によるエラーの減少
- 高い再現性:独自技術のXNAテクノロジーにより、ばらつきを最小化
- 高い費用対効果:リード深度を100倍削減することで実現
OptiSeq遺伝子リスト(65遺伝子)
ABL1 |
AKT1 |
ALK |
APC |
ATM |
BRAF |
BRCA1 |
BRCA2 |
CDH1 |
CDKN2A |
CSF1R |
CTNNB1 |
DDR2 |
DNMT3A |
EGFR |
ERBB2 |
ERBB3 |
ERBB4 |
EZH2 |
FBXW7 |
FGFR1 |
FGFR2 |
FGFR3 |
FLT3 |
FOXL2 |
GNA11 |
GNAQ |
GNAS |
HNF1A |
HRAS |
IDH1 |
IDH2 |
JAK2 |
JAK3 |
KDR |
KIT |
KRAS |
MAP2K1 |
MET |
MLH1 |
MPL |
MSH6 |
MTOR |
NF1 |
NF2 |
NOTCH1 |
NPM1 |
NRAS |
PDGFRA |
PIK3CA |
PIK3R1 |
PTCH1 |
PTEN |
PTPN11 |
RB1 |
RET |
SMAD4 |
SMARCB1 |
SMO |
SRC |
STK11 |
TERT |
TP53 |
TSC1 |
VHL |
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- |
サービスに関するサポートデータ
【PCRアンプリコンの融解プロファイル】
OptiSeq
TM は、XNAテクノロジーを採用することで、肺腫瘍サンプルからKRASコドン12変異アレルを主に濃縮し、高分解能融解プロファイルの単一ピークで示されるように純粋な変異型PCRアンプリコンをもたらします(
fig.2 左側)。
一方で、XNAテクノロジーを使用しない従来のNGSのPCRでは、プロファイル内の変異アレルシグナルが不明瞭になります。(
fig.2 右側)
【BRAF V600変異の高感度検出】
rare変異およびactionabie変異をディプシークエンスなしに検出可能です。OptiSeq
TM は、全血中のctDNAからBRAF V600E変異を迅速に、正確にそして効率よく検出します。5%、1%および0.1%の変異体DNAの検出レベルが示されています。(
fig.3)
【バックグラウンドノイズの減少】
ctDNA変異部分からくるデータは、変異DNAシグナル(点線上の逆三角形)から分離された野生型DNA(点線下の黒丸)からの高いバックグラウンドノイズを示しています。
変異型DNAの場合、変異型DNA鋳型配列のみが配列決定 / 分析されます。(OptiSeq500リード=XNAテクノロジーなしの5万リード)
野生型の場合、野生型アレルは解析されないため、時間が短縮されますが、それでも高品質のリード深度が得られます。(
fig.4)
ご依頼方法とサービスの流れ
- お見積り
ご希望されるサンプル数をお知らせください。本サービスは、3サンプルから受注受付となっております。
ご依頼いただいた内容を基に、お見積りをご案内します。
- ご注文およびサンプル送付
フィルジェン社宛にサンプル、サンプルチェックシートおよび免責事項同意書をお送りください。
ご送付いただいた内容物をフィルジェン社で確認し、フィルジェン社から業務提携先へサンプルを送付します。
- 解析作業の実施(海外提携先)(fig.5)
- 納品
解析終了後、CD / DVD-ROM、USBなどにより、納品いたします。なお、納品物は、プロジェクトに依存して変更される場合があります。
【納品物】
本サービスは、サンプル調整から解析までがフルパッケージとなっております。基本的には簡易レポートまたはクリニカルレポートの形式で納品いたします。ただし、ご依頼がある場合は生データのご提供が可能です。(FastQ形式のシークエンスデータおよびVCF形式の解析データ)