富士フイルム和光純薬 / 富士フイルム和光純薬 ID: J01988

ウサギモノクローナル抗体作製受託(DNA免疫法) ID: J01988

DNA免疫法とウサギモノクローナル抗体作製を併せることで、両者の特長を持つ、「高機能×高親和性」の抗体取得が期待できます。

サービスについて

概要

富士フイルムグループ独自の技術(特許番号:WO2024071374)「B-cell screening」による、ウサギモノクローナル抗体作製サービスです。
DNA免疫法とウサギモノクローナル抗体作製を併せることで、両者の特長を持つ、「高機能×高親和性」の抗体取得が期待できます。
お客様でお持ちの脾臓細胞をご提供いただき、モノクローナル抗体を樹立することも可能です。

ウサギモノクローナル抗体とは?

ウサギモノクローナル抗体とは、ウサギ由来の免疫系を用いて生成される単一の抗体のことです。ウサギは、その免疫系の特性により、特定の抗原に対して非常に高い特異性と親和性を持つ抗体を生成する能力があります。ウサギ抗体の特性から、基礎研究だけでなく、診断ツールや治療など、多岐にわたる分野で利用されています。特に、近年では、免疫療法やターゲット療法において、ウサギモノクローナル抗体が治療薬としての可能性が期待されています。

ウサギモノクローナル抗体の特長・メリット

免疫動物として、マウスやラットなどが使われていますが、ウサギを使用するメリットや特長としては下記のことが挙げられます。
  1. 高い特異性
    ウサギモノクローナル抗体は、ターゲット抗原に対して非常に高い特異性を持つことで知られています。これは、ウサギの免疫系が広範な抗原を認識する能力を持っているためです。高い特異性により、目的の抗原に対して正確に結合し、非特異的な結合を最小限に抑えることができます。これにより、実験や診断において正確な結果を得ることが可能です。
  2. 高い親和性
    ウサギモノクローナル抗体は、抗原に対する親和性が非常に高いのが特徴です。これは、抗原と抗体の結合が強固であり、低濃度の抗原でも効率よく検出することができることを意味します。高い親和性は、感度の高い検出システムを必要とする用途において非常に有用です。
  3. 多様なエピトープ認識能力
    ウサギの免疫系は、非常に多様なエピトープ(抗原の特定部分)を認識する能力があります。これにより、ウサギモノクローナル抗体は、広範な抗原に対して反応することができ、新規抗原や変異抗原の研究においても有用です。

ウサギモノクローナル抗体の作製技術

ウサギ抗体のモノクローナル化は、技術的な理由から困難とされてきました。特に、モノクローナル抗体作製のゴールデンスタンダードである細胞融合法の効率が悪いことが技術的な壁になっていました。
富士フイルム和光純薬社は、細胞融合法ではなく、富士フイルムグループ独自技術(特許番号:WO2024071374)を加えたB-cell screening技術を導入することで、効率的にウサギモノクローナル抗体作製を可能にしました。

ウサギモノクローナル抗体×DNA免疫

DNA免疫法とは抗体作製方法のひとつです。
通常のモノクローナル抗体作製方法では、DNA情報から組み換えタンパクを調製するか、ペプチドを合成し、それらを抗原として免疫動物へ投与して抗体を取得します。一方、DNA免疫法は、プラスミドを直接免疫動物へ投与し、免疫動物の体内でターゲットタンパク質を発現させ、免疫を惹起します。 従来のタンパク質・ペプチド免疫法と比べ、「抗原タンパク質・ペプチドが不要」「抗原のコンタミネーションが起こらない」「抗原変性が起こらない」「ターゲット抗原の改変が容易」といったメリットがあります。 中和抗体(機能性抗体)を得られやすい点も特徴のひとつです。


富士フイルム和光純薬社は、ラット・マウスにおいて、DNA免疫法による抗体作製で100件以上の実績を誇っており、多くのお客様に高機能な抗体をお届けしてきました。
DNA免疫法をウサギモノクローナル抗体とかけ合わせることで、両者の特長を持つ「高機能性×高親和性」の抗体取得が期待できます。
抗体医薬や診断薬に向けた次世代抗体として、ご利用いただくことが可能です。

作業の流れ

    Feasibility Study
  • 抗体作製戦略の立案
    ご依頼いただいた配列情報や使用目的を元に、in silicoでターゲットの構造および性質を分析し、抗体作製戦略を提案させていただきます。加えて、最適な免疫領域及び免疫方法、スクリーニング方法も報告書と共に提案させていただきます。
  • Milestone 1
  • 哺乳細胞における抗原の発現解析
    細胞表面での発現確認:上記Feasibility Studyで決定した内容に基づき、ターゲット遺伝子をお客様からご提供いただいたベクター、または当社in-house発現ベクターにクローニングし、免疫プラスミドを作製いたします。哺乳細胞に一過性発現後、フローサイトメーターにより細胞表面での抗原の発現をチェックします。
    エクソソームの発現確認:Milestone-3のB-cell screeningに使用する細胞外小胞(エクソソーム)の発現確認を行います。一過性発現後の培養上清をエクソソーム精製キットで回収し、ELISAまたはフローサイトメトリーにより、エクソソーム表面での抗原の発現をチェックします。
  • Milestone 2
  • ウサギ免疫
    動物への免疫:作製した免疫用プラスミドをウサギに免疫いたします。免疫方法は皮下免疫です。2ヶ月程にわたって免疫を行なった後に抗血清を回収します。抗体価をMilestone-1で作製した一過性強制発現細胞を用いてフローサイトメーターにより評価します。また、抗血清は個体ごとに回収し、オプションでお客様へ評価用サンプルとしてお送りします。
    また、動物実験の第三者認証・非認証施設の選択が可能です。
  • Milestone 3
  • B-cell cloningによるモノクローナル抗体作製fig.1

    B-cell cloning:
    抗体価が上昇したウサギ個体の脾臓を採取し、脾細胞を取得します。脾細胞を約20万個の穴(チャンバー)を持つプレートに播種し、細胞を1つずつ分離します。お客様で採取した脾細胞をお送りいただき、Milestone-3から実施することも可能です。

    スクリーニング:
    1次スクリーニングは、脾細胞を播種したチャンバー内で実施します。チャンバー内に抗原を膜上に発現させた細胞外小胞(エクソソーム)を塗布することで、膜タンパク質でもスクリーニングを行うことを可能にしました(特許番号:WO2024071374 )。抗原に結合する抗体を分泌する細胞をピックし(最大44細胞)、1-cell PCRにより抗体遺伝子を増幅させます。2次スクリーニングでは、増幅した遺伝子断片で哺乳細胞に簡易発現させ、フローサイトメトリーまたはELISAにより抗原結合性を確認します。オプションで、培養上清をお送りし(~数百μL)、お客様で評価いただくことも可能です。

    クローニング:
    6クローンを選択いただき、抗体遺伝子を搭載した発現ベクターを構築します。発現ベクターを用いて、哺乳細胞に一過性発現させ、フローサイトメトリーまたはELISAにより抗原結合性と発現量を解析します。その後、抗体遺伝子をシーケンスし、抗体遺伝子配列と発現ベクターを納品いたします。

納品物

  • 抗体遺伝子配列
  • 抗体遺伝子(ベクター)
  • 培養上清
  • 報告書

ご注文に関して

以下のファイルをご利用の上、お問い合わせフォーム からご送付ください。

専用注文書類

参考価格・納期

●Feasibility Study
サービス名 価格(税抜) 納期
抗体作製戦略の立案 ¥95,000 2週間
●Milestone 1
サービス名 価格(税抜) 納期
哺乳細胞における抗原の発現解析 ¥1,000,000 1.5ヶ月
(cDNA合成(*1)の納期は含まれません)

*1 DNA合成を富士フイルム和光純薬社で実施する場合は別料金となります。

●Milestone 2
ウサギ免疫 価格(税抜) 納期
Premium Course(第3者認証対応(*2)) ¥2,500,000 2ヶ月~
Standard Course(第3者認証非対応) ¥1,000,000 2ヶ月~
オプション
免疫動物の羽数追加(4羽以上) お問い合わせ
追加免疫(3羽) お問い合わせ
お客様所有の細胞株によるFCM解析 ¥150,000/株
ELISAによる評価 ¥100,000/抗原
抗血清サンプル送付 ¥30,000/回
脾臓回収・送付 ¥400,000/羽
エクソソームELISA(*3) ¥500,000

*2 AAALAC International(国際実験動物ケア評価認証協会)認証施設
*3 抗血清を使用
* ウサギ=日本白色種の場合の価格。それ以外の系統になる場合は、別途追加料金が発生します。

●Milestone 3
サービス名 価格(税抜) 納期
B-cell cloningによるモノクローナル抗体作製 ¥4,000,000 2~3ヶ月
オプション
追加プレートによるスクリーニング (1次スクリーニングで陽性細胞が20個未満) ¥500,000/回
追加プレートによるスクリーニング (1次スクリーニングで陽性細胞が20個以上) ¥2,000,000/回
培養上清の送付(2次スクリーニング後) ¥100,000
クローニング数の追加(7クローン以上) ¥500,000/クローン
ELISAによるスクリーニングの追加(2次スクリーニング) ¥100,000/抗原
ELISAによるスクリーニングの追加(クローニング) ¥100,000/抗原

* 1次スクリーニングで使用する抗原(リコンビナントまたはペプチド)を頂ける場合、¥3,500,000になります。
* 1次スクリーニングで陽性細胞が20個未満の場合、¥500,000で追加プレートによるスクリーニングをさせていただきます。

関連サイト