概要
元のがん組織の特徴を保持したF-PDO
®を使⽤して抗がん剤の評価や抗体医薬品の薬効評価を⾏います。F-PDO
®を使⽤して薬効評価を⾏うことにより、臨床試験での新薬候補のドロップアウトの確率を減らすことが可能です。近年注⽬を集めている抗体医薬の評価にも使⽤可能です。
福島医薬品関連産業支援拠点化事業により開発された患者由来がんモデルの「F-PDO
®」を用いて新薬開発における治臨床試験でのドロップアウトを減らして効率的な新薬開発を行いませんか?
* F-PDO
®は公立大学法人福島県立医科大学の登録商標です。
F-PDO®(Fukushima Patient-derived tumor organoids)とは
福島県立医科大学 医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター 高木 基樹 教授
ヒトがん細胞株は、世界初の株化細胞(安定して増殖を繰り返す細胞)としてHeLa細胞が樹立されてから多くのがん細胞株が作製され、がんの生物学や抗がん剤の評価などで幅広く研究に使用されてきた。しかしながら、これらのがん細胞株は長期間の培養による増殖を繰り返したため、ゲノム配列や遺伝子発現に変化が生じ、がん組織の特徴を維持していない細胞がほとんどである。
また、単層培養を行うことで形態学的にもがん組織の状態を反映できていない。従って、抗がん剤の臨床上の薬効と細胞株に対する薬効は一致しないことが知られており、がん細胞株で評価された抗がん剤の85%程度が臨床試験において予想された薬効を示さないことが報告されている。
そこで、近年、多くの研究者ががん組織の構造や特徴を正確に反映したpatient-derived tumor organoid(PDO)やspheroidを用いた
in vitroシステムを開発している。多くの方法は、患者から摘出したがん組織をタンパク質分解酵素等で適当な大きさに分散し、マトリゲルや3D培養用の培養器で培養することで細胞間接着を維持した状態でがん組織に近い環境下で培養を行っている。
福島医薬品関連産業支援拠点化事業では、肺、乳、卵巣、子宮等の様々ながん組織からPDOを樹立し、Fukushima (F)-PDOと名付けた。F-PDO
®は、6ヶ月以上培養が可能であり、網羅的遺伝子発現解析でがん組織の特徴を保持していることを確認している。加えて、96ウェルや384ウェルプレートに対応できるハイスループットアッセイ系を構築した。
F-PDO®の種類(
fig.1)
F-PDO
®:106種類
F-PDO®一覧リスト
細胞塊を形成しない細胞も含みます。
F-PDO®の樹立・解析方法、遺伝子発現プロファイル
- 樹立方法(fig.2)
- 遺伝子プロファイリング(fig.3)
F-PDO® の遺伝子発現プロファイルは、同種組織由来のがん細胞株ではなく、元のヒトがん組織と同じグループに分類された。
特長
- F-PDOは組織学的解析、ゲノム解析、網羅的遺伝子発現解析により、元のがん組織の特徴を維持していることが確認できています。(fig.4)参照
- F-PDOを用いた抗がん剤評価は、従来の評価方法と比べ、臨床をより反映した状態で抗がん剤を評価することが可能です。(fig.5)(fig.6)参照
- F-PDOの薬剤感受性は、元のがん組織の特徴を反映しない従来のがん細胞株とは異なります。
- 様々なハイスループットアッセイ系を用いて臨床を反映した抗がん剤の評価が可能です。
- 一部のF-PDOは胆がんマウス作製が可能です。
F-PDO®の使用例やアプリケーション、提供可能なデータ
- 使用例
・薬効評価
・副作用予測
・細胞増殖阻害試験
・細胞応答性試験・・・etc
- 細胞増殖阻害試験の例:F-PDO®の位相差像と抗がん剤感受性(既存細胞株との比較)
臨床上でパクリタキセルに耐性を示すがん由来のF-PDOは既存の細胞株と比較してパクリタキセルへの感受性が低い傾向が認められた。(fig.7)
* 関連サービスも用意しており、それらと組み合わせることで目的に合わせた様々な解析が可能です。
- アプリケーション
【抗体医薬品の評価】
・抗体評価
・抗体薬物複合体(ADC)の細胞増殖阻害評価
・二重特性抗体の評価
【F-PDO®を用いた免疫反応の評価】
・PBMCの免疫反応の評価
【細胞塊の透明化解析】
3D動画 RLUN14
3D動画 RLUN20
[撮影条件]
・使用透明化試薬:SCALEVIEW-S4(製品コード:194-18561)
・使用抗体:ZO-1-Alexa488 conjugate
・撮影装置:共焦点レーザー走査型顕微鏡 FV3000(OLYMPUS社)で撮像
* 本データは福島県立医科大学様およびオリンパス株式会社様よりご提供いただいております。
[今後の展開]
・フェノタイプアッセイ
・遺伝子改変F-PDO
・F-PDOを用いた動物モデル
詳しくはこちらをご覧ください(PDF/11.9MB)
* スライド39枚目から抗体医薬の評価について記載があります
- 提供可能なデータ
・ご提供化合物のF-PDO®に対する IC50値、EC50値、GI50値、AUC値
・取得したすべての測定データ、アッセイにおける CV値や Z’ 値等
[オプション]
・アポトーシス誘導評価データ
・既存抗がん物質との比較解析データ
・F-PDO® の遺伝子発現解析データ
・F-PDO® のがん関連遺伝子の変異データ
・F-PDO® の樹立に使用したがん組織のドナー情報
サービス項目 |
価格(税抜) |
納期 |
F-PDO®(がん組織由来培養細胞)を用いた抗がん剤等の薬効評価解析 |
お問い合わせ |
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モデルケース
条件:
・サンプル数:1 F-PDO®(96well plate)× 1化合物
・測定法:細胞増殖アッセイ
・測定数:N=3
・提供情報:ご提供化合物のF-PDO® に対する IC50値、EC50値、GI50値、AUC値および取得したすべての測定データ、アッセイにおける CV値や Z’ 値等
参考価格:¥450,000~(税抜)
* 解析内容や関連サービス等の条件により価格は変動します。詳しくはお問い合わせください。