特長
Bio-Rad QX200デジタルPCRシステムは、限界希釈したサンプルをマイクロ流路技術により、微小区画(water-in-oilのドロップレット)に分散させてエンドポイントPCRを行います。希少変異解析やCNV (コピー数多型) の測定にご利用いただけます。
ターゲット遺伝子を含むドロップレットでは増幅シグナル(ポジティブ)とターゲット遺伝子を含まないドロップレット(ネガティブ)の微小区画をカウントし、サンプルの濃度を測定します。
ポジティブの数と微小区画の数をポワソン分布で補正することにより最終濃度を算出します。
Bio-Rad QX200デジタルPCRシステムは加水分解プローブと二本鎖DNAにインターカレートするEvaGreen色素のどちらでも測定することができます。
デジタルPCRの利点
・PCR増幅効率に左右されない
・限界希釈を行うため、サンプル中のPCR阻害要因を軽減
・PCR阻害要因の軽減と飽和するまでの増幅により感度が高い
・検量線を利用せずに定量可能
概要
1 | サンプルのクオリティチェック |
2 | ドロップレットの作成、PCR増幅 |
3 | 蛍光検出 |
4 | データ解析 |
- サンプルのクオリティチェック(QC)を行います。
必要に応じて実験のご提案を柔軟に行います。
- PCRマスターミックスとサンプル混合を調整し、専用オイルを用いてドロップレットを作成します。
RNAの場合、cDNA合成をおこないます。(fig.1)
サーマルサイクラーによりエンドポイントまで目的産物のPCRをおこないます。
- PCR終了後、専用のReader(QX200)にセットし、シースフローにより一つ一つのドロップレットを流路内に移動させ、ポジティブドロップレットとネガティブドロップレットの数をカウントします。
- ポアソン分布にあてはめることにより、サンプルの濃度を測定します。
プライマー ・ プローブをお持ちでない場合、プローブの検索 ・ 設計を行います。検索はPrimePCR ddPCR Assays(Bio-Rad社)、TaqMan Assays(Thermo Fisher Scientific社)またはLBx Probe(理研ジェネシス社)となります。
データ解析
デジタルPCRではサンプルの単位容量あたりにターゲット遺伝子が何コピー 存在するかを算出しますが、限界希釈であっても微小区画あたりの断片数 が1以上になる場合があります。 これを補正するため、ポジティブの数と微小区画の数をポアソン分布にあてはめて最終濃度を算出します。この補正は微小区画数が多いほど精度が高くなり、ばらつきをおさえるには1サンプルあたり10,000区画以上が必要とされています。
ポアソン分布は独立した事象の発生確率が一定の分布を示すことにもとづ いていますが、デジタルPCRで考えるとこのようになります。(
fig.2)
サンプル中のターゲット遺伝子コピー数が多くなるほど、複数個のターゲッ トを含む微小区画も増加するので、これをポアソン分布で補正してコピー 数を算出します。(
fig.3)