レーザーマイクロダイセクション(LMD)法は、目的の細胞、組織を顕微鏡で観察・確認をしながら、特定の領域のみをレーザーで切り出して回収する手法です。摘出した臓器から、必要な領域のみを切り出して解析に使用することで、バックグラウンドが低く、特異性の高いデータを、再現性よく得ることを可能とします。
作業の流れ
- サンプル受領(組織の摘出、ブロック作製)
- 切片作製 / HE染色
- HE染色像による切り出し部位の確認(メール等で確認を頂きます)
- 切片作製
- レーザーマイクロダイセクション
- 回収したサンプルからの核酸抽出
* 組織の摘出、ブロック作製、別途費用が必要です。
実施例
さまざまな組織標本から必要な部位のみを切り出した実績がございます。(
fig.2)
FAQs
Q:LMDでは、どれくらいのサイズを切り出すことが可能ですか?
A:1細胞を切り出すことは可能ですが、周辺の細胞はレーザーで消失します。
Q:どれくらいの切片サンプルをLMDすれば、以降の実験に足りるでしょうか?
A:例えば、回収した組織サンプルからマイクロアレイやRT-PCRを実施される場合、核酸1ug程度が必要かと思われます。例えば、腫瘍組織の場合ですと、1ugのRNAを回収するには、10μm厚の切片で、約50mm平方の組織が目安となります。
また、抽出したタンパク質を使用してプロテオーム解析(ショットガン分析)をされる場合には、厚さ10μm, 2mm×4mm程度が必要です。
Q:どのようなサンプルを用意すればよいですか?
A:核酸、タンパク質の抽出には、未固定の凍結ブロックをお勧めします。
FFPE(ホルマリン固定パラフィンブロック)からでもLMD自体は可能ですが、抽出した核酸が分解している可能性やタンパク質が架橋されている可能性があります。
Q:未固定凍結ブロックの作製方法は?
A:下記の手順をご参照ください。ご不明な点はお気軽にお尋ねください。
- クリオモルドに OCT コンパウンド(4℃)を満たし、その中に摘出した組織を沈める。
- (*切片の向きに指定がある場合には、組織を沈める向きに注意する。)
- ドライアイス・エタノール(アセトンでも可)に浮かべて、凍結するまで待つ。
- 余分な液体を拭き取り、-80℃で保管する。
- ドライアイスを同梱して冷凍便で送付する。
ココがPoint!
液体窒素を用いて組織を凍結させると、組織や包埋剤がひび割れたり、過冷却で組織形態が悪くなる場合があります。
上記の通り、ドライアイス・エタノール等を使用することで、ひび割れや気泡を軽減できるため、お勧めします。