概要
iTRAQ
®(Isobaric Tag for Relative and Absolute Quantitation)を用いた解析により、複数サンプル間における網羅的なタンパク質同定と発現相対定量解析を行います。バイオマーカー探索をハイスループットで行うことができます。この他、最大8種類までの生体サンプル中の網羅的なリン酸化部位同定と比較定量解析も可能です。二次元電気泳動などの煩わしい操作は不要です。
網羅的なタンパク質同定と発現相対定量解析
【特長】
- 最先端の設備と最適化されたプロトコル
- 高感度検出
- バイオマーカー発見のための網羅的なアプローチ
- 二次元電気泳動を行わず、LC/MS/MSにより、網羅的なタンパク質発現データが得られます。
- 1回の解析で最大8検体を同時測定
煩わしい二次元電気泳動は不要
二次元電気泳動によるタンパク質発現解析とiTRAQ
® 試薬による網羅的タンパク質発現解析の比較を下図にまとめました。前者は、解析比較数分の二次元電気泳動及び解析スポット数分のLC/MS/MS測定が必要となり、得られるデータは、解析スポットに含まれるタンパク質情報のみです。対して、後者は、サンプル個別にトリプシン消化及び標識するのみです。あとは、最大8サンプルを混合させ、LC/MS/MSによる定量・同定を行いますので、標識された全てのタンパク質の情報が得られます。
タンパク質2とタンパク質3の間の発現比較を行う場合、二次元電気泳動(
fig.1 右;一般的な方法を示しています。)では、再度電気泳動を行う必要がありますが、iTRAQ
® 試薬(
fig.1 左)を用いた場合は、データ解析時において、比較対照サンプルの条件を変更するのみで対応できます。また、LC部分は、SCXカラムによるフラクション分離後、逆相カラムを使用することにより、より多くのペプチドを同定する事が可能となりました。
iTRAQ® 試薬全てのタンパク質を標識、相対定量
iTRAQ
® 試薬キットは、最大8種類までの異なる生体サンプル中のすべてのペプチドの第一級アミンを同時にラベルし、MS/MSスペクトルから相対定量を可能にするアミン特異的な安定同位体試薬セットです。翻訳後修飾(PTMs)の有無に関わらず、すべてのペプチドをラベルするので、サンプルからより多くの詳細情報を収集し、タンパク質やプロテオーム解析の幅が広がります。また、同じタンパク質を、複数のペプチドで標識するので、シグナル強度が高まるので、スペクトルがより明瞭になり、MS/MSスペクトルによる同定と定量化の信頼性が向上します。さらに、ラベル化されたisobaricペプチドは、MSで同じ質量を示すことから、MSスペクトルの解釈が容易になります。なお、同時測定可能サンプルは、最大8Plexとなります。iTRAQ
® 試薬マルチプレックスワークフローを(
fig.2)に示します。
これまで困難であった、網羅的なタンパク質発現解析をはじめ、バイオマーカー解明のための探索やバリデーション、プルダウン法、膜タンパク質研究、標的タンパク質の定量をはじめとする様々なアプリケーションに対応できます。
iTRAQ
® を用いた実験の概略(
fig.3)
最大8条件までの全てのペプチドに標識分子が結合し、リポーター部分のスペクトル面積比より定量します。
ペプチド部分は同じであるため、スペクトルが増強され、同定効率は高くなります。
- 8つのサンプルを同時に測定できます。コントロールを追加したり、同じサンプルを二重に測定するなど、結果への信頼性を高めることができます。
- iTRAQ® 試薬ワークフローは、従来のプロテオミクスワークフローの、手間のかかる二次元電気泳動のステップを省くことができ、iTRAQ® 試薬標識のステップを追加するだけで実行可能です。
- アイソバリック(等質量)の試薬を使用するため、8サンプルの和として、高いMS感度が得られます。
- 自動的にMS/MSを取得でき、ペプチドの同定、さらにレポーターイオン領域(オレンジ部分)から、4サンプルの定量が可能です。
- 同一タンパク質由来の異なった消化ペプチドから発生するレポーターイオンを正確に統合できるため、統計的に精度の高い結果が得られます。ProteinPilot® Software により、自動的にアイソフォーム特異的な結果が得られます。
網羅的なリン酸化部位同定と比較定量解析
本サービスは、iTRAQ
® 試薬を用いることで、最大8種類までの生体サンプル中の網羅的なリン酸化部位同定と比較定量解析にも対応することができます。生体内で合成されたタンパク質は、翻訳後修飾を受け、その過程でリン酸基や糖鎖の付加などが起こります。多くのタンパク質は、これらの修飾基の付加により、その機能を獲得すると考えられており、タンパク質機能を解明する上での手掛かりをつかむためには、翻訳後修飾の解析は不可欠です。本サービスでは、この翻訳後修飾の解析として、リン酸基で修飾されたタンパク質の修飾部位を決定できます。また、リン酸化ペプチドの相対定量も行います。
【特長】
独自の濃縮アプローチ
タンパク質の翻訳後修飾(PTM)は、その存在量が少ないため、大規模なリン酸化タンパク質プロファイリングを行うためには、リン酸化ペプチド濃縮プロセスが必要です。Creative Proteomics社では、IMACによるリン酸化ペプチド濃縮をベースに、より多くのリン酸化プロテオーム情報を得るために、セリン、スレオニン、およびチロシンの3種のリン酸化タンパク質を濃縮する独自のアプローチを取り入れています。リン酸化ペプチドを濃縮後、LC-MS/MSの測定前にサンプルごとに3~4セクションに分画します。これにより、より多くのリン酸化部位が検出されます。
独自の解析ソフトウェア
Creative Proteomics社のバイオインフォマティシャンによって開発された独自のソフトウェアは、より効果的な正規化および存在比推定アルゴリズムを採用し、リン酸化タンパク質に関する詳細情報を取得できます。
リン酸化部位同定の概略(
fig.4)
ESI-MSにより、リン酸化ペプチド候補の絞り込みを行った後、ESI-MS/MSにより、リン酸化されたアミノ酸部位を同定します。
サービス内容
【使用機種】(
fig.5)(
fig.6)
【作業内容】
- サンプルからタンパク質抽出(オプション)
- タンパク質サンプルをトリプシンで消化処理
- 消化サンプルをiTRAQ® 試薬で標識
- 標識したサンプルの混合
- 強陽イオン交換体カラム(SCX chromatography)により分画
- 高性能nano-LC/MS/MSによるタンデム質量分析
- データベース検索によるタンパク質同定ならびに相対定量数値化
- バイオインフォマティクス解析(オプション)
【納品データ】
- レポート(PDF)
- データ(Excel)
サービス名 |
アプリケーション |
必要総タンパク質量 |
価格(税抜) |
カタログ# |
納期 |
iTRAQ® プロテオーム解析サービス |
タンパク質同定・発現相対定量解析 |
最低量>150μg
推奨量>300μg
濃度>1μg/μL
|
¥229,000 |
F-CPM-iTRAQ
-[サンプル数] |
お問い合わせ |
リン酸化部位同定・比較定量解析 |
3~5mg |
¥320,000 |
F-CPM-iTRAQ-P
-[サンプル数] |
* 表示価格は、1サンプルの金額です。本サービスは比較解析のため、最低2サンプル以上からの受注となりますので、ご注意ください。
*本サービスは、海外業務提携先で実施するため、上記の解析料金の他、サンプルの海外輸送費が別途発生します。