腸間膜内臓脂肪細胞とは?(fig.1)
腸管から吸収された栄養成分は、門脈やリンパ管を通って肝臓へ運ばれ、 全身組織に分配されます。門脈、リンパ管が分布する腸間膜には、年齢と共に脂肪組織が増生しますが、近年この腸間膜内臓脂肪の過剰蓄積が、糖尿病、 高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病を引き起こすことが検証されています。 腸間膜内臓脂肪細胞の性質について知ることは、これらの生活習慣病の病態 像を理解するうえで重要な位置を占めています。
特長
- 3T3-L1脂肪細胞系に代わる新たなツール
これまで、脂肪細胞の研究には株化された3T3-L1脂肪細胞が多用されてきましたが、その機能については疑問視されてきました。コスモ・バイオがスクリーニングで使用する腸間膜内臓脂肪細胞は、脂肪成分を添加することで脂肪滴の肥大化が引き起こされますが、3T3-L1脂肪細胞ではこのような現象が観察されません。
さらに、薬剤に対する反応も3T3-L1脂肪細胞と腸間膜内臓脂肪細胞とでは異なることが報告されています(Cell Biol. Int. 2007 Jul; 31(7): 703-10)。
- 強制分化薬剤の添加は不要
コスモ・バイオが開発した腸間膜内臓脂肪細胞の分化誘導系では、強制分化薬剤(デキサメタゾンやイソブチルメチルキサンチン、PPARγアゴニストなど)を必要としません。
デキサメタゾンなどの添加により、脂肪細胞の機能が低下するとの報告は多く、これらの薬剤 を添加する培養系では、正しい評価はできません。
- 培地中のインスリンは生理的濃度
さらに多くのユーザー様のご要望にお応えして、これまで数μg/mLレベルであったインスリン濃度は、常に数ng/mLレベル以下の生理的範囲での培養が可能となりました。
この新規培養法を用いることで、生体内で起こり得る通常状態から高濃度インスリン状態まで を反映した培養系での評価が可能です。
- 皮下・精巣上体周囲脂肪細胞との比較解析も
同一個体群より採取した皮下および精巣上体周囲脂肪細胞も、上記培地を用いての培養が可能ですので、同条件下で培養した皮下・精巣上体周囲脂肪細胞及び腸間膜内臓脂肪細胞の比較評価に、ぜひご活用ください。
解析実績例
- 処理条件の設定
培養・処理条件などについて、ご相談させて頂きます。
- 写真撮影(基本項目)(fig.2)
* ご希望により、オイルレッド染色を行います
- ウェスタンブロッティングによるインスリン受容体の発現確認(オプション)(fig.3)
お客様よりご提供頂いた抗体での解析も可能です。
- ELISA法によるアディポネクチン分泌量確認(オプション)(fig.4)
受託試験の流れ
- お見積のご依頼
試験のお見積依頼書をお送りください。
- ご依頼内容の確認
お客様とプライマリーセル事業部の技術者との内容確認、プロトコール等について相談させていただきます。
(お客様のご要望に応じて、柔軟に対応いたします)
また、必要に応じて秘密保持契約の締結も可能です。
- 検体などの送付
お客様よりコスモ・バイオへ、直接サンプルをお送りいただきます。
(発送に際しましては、土日着を避けてください。)
- 試験の実施
ご依頼頂いた条件で、試験を実施いたします。
- 結果の送付
結果は、お客様へ直接送付させて頂きます。
(ご依頼により、作製したサンプルの送付もございます。)
受託試験オプション
- 分泌タンパク解析(ELISA)
- 遺伝子発現量解析(マイクロアレイ)
- タンパク質発現解析
- 細胞動画撮影
* 価格の詳細や参考例などは
札幌事業部のサイトをご覧ください。
* その他の解析についてはご相談ください。別途お見積させていただきます。