概要
microRNA(miRNA)は、細胞中に存在し、より大きなサイズをもつヘアピン構造の前駆体から切り出される22塩基程度の1本鎖RNAです。miRNAは特定の領域にコードされている遺伝子ですが、タンパク質へ翻訳されることがなく、他のmRNAと結合して切断や翻訳を抑えるプロセスにより遺伝子の発現を制御しています。ガンから代謝や発生、分化にいたるまでの多くの重要な生物学的プロセスにおいて、miRNAがかかわっているといわれています。フィルジェンでは、Applied Biosystems「TaqMan
® MicroRNA Assays」を使用し、リアルタイムPCR法により、miRNAの発現レベルを正確に定量致します。
特長
- 前駆体ではなく、成熟体miRNAの検出への挑戦
miRNAは、細胞内で前駆体と成熟体の両方の構造で存在しているにも関わらず、非常に短い成熟体のみが生物学的な活性を有しています。近年では、一般的なmiRNAの検出・定量の方法は、ノーザンハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、RNaseプロテクションアッセイなどでした。これらの以前から用いられていた方法は、精製したRNAと直接的にラベルされたプローブをハイブリダイズさせることにより検出を行なっています。切り出された成熟型miRNAと前駆体miRNAは、共通なターゲットシークエンスを有しているため、サイズによってmiRNAを分離していないハイブリダイゼーションをベースとした技術では、成熟体miRNAだけを検出するのに多くの場合は、困難を要しています。また、ハイブリダイゼーションをベースとした技術は解析に時間がかかる傾向があり、ラベル作業やアイソトープが必要となる高価なプロセスが必要でした。また、データのダイナミクスレンジ(検出感度の領域)も限られた幅でしか得る事が出来ませんでした。
TaqMan® MicroRNA Assays は、完成型miRNAの特異的な検出のみならず、高い相同性をもつmiRNA間での識別を可能とし、いくつかの事例においては、一塩基のミスマッチをもつmiRNAでも識別が可能となります。このことは、前駆体ではなく成熟した生物学的に意味をもつ完成型miRNAを測定し、非常に高い特異性をもって目的のmiRNAを検出していることを意味します。
- 高い相同性をもつmiRNAの識別
TaqMan® MicroRNA Assays は、完成型miRNAの特異的な検出のみならず、高い相同性をもつmiRNA間での識別を可能とし、いくつかの事例においては、一塩基のミスマッチをもつmiRNAでも識別が可能となります。このことは、前駆体ではなく成熟した生物学的に意味をもつ完成型miRNAを測定し、非常に高い特異性をもって目的のmiRNAを検出していることを意味します。
- 必要となるのは最少の材料のみ
TaqMan® MicroRNA Assays は、極めて感度が高く、1つのmiRNAあたり、10ngのmiRNA分画を含むtotalRNAで測定できます。感度が高いため、回収量が制限された出発材料でも、対応可能です。
- 比類なきダイナミクスレンジ
TaqMan® MicroRNA Assays は、数コピーから数百万コピーまでの7桁ものダイナミクスレンジで定量する事ができます。つまり、細胞あたりの標的miRNAが数コピーしかない場合、あるいは、大量に存在するサンプル場合でも、同一の実験系で正確なデータが得られることを意味し、異なる細胞や組織、疾患状態においてもmiRNAの発現量を定量解析する事ができます。
また非常に再現性にも優れています。
- 内在性コントロール
miRNA遺伝子の発現量を解析する際には、RNAサンプルの品質や量、逆転写反応の効率などを管理することが重要です。そのために、内在性コントロール遺伝子が必要になります。
[内在性コントロール候補例]
・sn/snoRNA
ヒト:RNU48、RNU44、U47、RNU6B
マウス:snoRNA202、snoRNA234
・miRNA
組織:has-miR-26b、hsa-miR-92、hsa-miR-92N
細胞株:has-miR-423、hsa-miR-374、hsa-miR-16
・従来からのTaqMan® Assayコントロール:18S rRNA