概要
遺伝子発現に大きく影響を与えることが知られているmiRNAの配列情報を網羅的に解析します。特にエクソソーム中のmiRNAの解析に関して実績が豊富にあります。
特長
miRNA-Seqでもさまざまな試料に対応した解析を行っております。
- 細胞・組織由来RNA
- 血清・血漿由来RNA
- 培養上清・血中エクソソームRNA
細胞や組織由来RNAのほか、血清、血漿由来のセルフリーRNA(cfRNA)にも対応しており、近年、盛んに研究されているリキッドバイオプシーについても解析することができます。リキッドバイオプシーは、体液に含まれる核酸を検出する技術であり、がんの検査などにも使われるようになってきました。とくにエクソソーム中のmiRNAの解析に関しては実績が豊富にあり、近年では動脈硬化疾患に関するプロジェクトに参画(2021年1月14日プレスリリース)しております。
【対応する生物種】
miRNAについては,miRBaseに搭載している生物種であれば基本的に解析可能です。
miRBaseはmiRNAの配列情報やアノテーション情報に関するデータベースで広く利用されています。
解析の流れ
- 試料のクオリティチェック(QC)を行います。
- miRNAを対象としたシークエンスライブラリーを調製します。
*ライブラリー調製試薬
QIAseq miRNA Library Kit(Qiagen社)
- 調製したシークエンスライブラリーはQC後、illumina社の次世代シークエンサー(NextSeq 500、NovaSeq 6000、Hiseq Xなど)でシークエンスします。
- シークエンス後のデータは、リファレンスゲノムにアライメント(マッピング)後、発現量を定量化(正規化)し、アノテーション情報を含むExcel形式のファイルを作成します。デフォルトでは、TMMで定量化します。ご要望に応じて、発現変動遺伝子抽出、時系列解析、ターゲット遺伝子予測などの解析を実施します。正規化以降の解析をご依頼いただいた場合には、 6試料以上の場合で階層的クラスタリングと主成分分析(PCA)を行います。
データ解析
miRNAの解析( ライブラリー調製キット:QIAseq miRNA Library Kit )
- リードの品質の評価を行います。
- QIAGEN社CLC Genomics Workbenchにより、シークエンスで得られたリードをリファレンスゲノムにアライメント(マッピング)後、分子バーコード(UMIs)によるPCR重複の除去を行い、リードカウントをします。
- 試料間のリードカウントを補正するために正規化を行います。
- ご指定の比較に沿って、変動するmiRNAなどを抽出します。
- miRNAが標的とする遺伝子予測を行います。遺伝子予測データベースであるTargetScanなどを利用します。
- 予測された遺伝子リストについてGO解析で特徴的なGO Termを抽出します。複数ある遺伝子の特徴を客観的につかむことが出来ます。
- Pathway解析では、Wikipathwaysに登録されたPathway上に、予測された遺伝子をmiRNAの発現情報(UP/DOWN)で色分けしPathway画像を作成します。さらに予測された遺伝子を有意に多く含むPathwayを絞り込むことができます。
* 解析内容は
統計解析(データ解析)のページをご参照下さい。
miRNAの解析( ライブラリー調製キット:QIAseq miRNA Library Kit )
- original_fastq(FASTQ生データ)
- 試料QC結果(品質検査結果)
- データQC結果(FastQC、MultiQC)
- データ解析結果:正規化、変動miRNA抽出、標的遺伝子予測、GO解析、Pathway解析
* USBメモリ等の記憶媒体もしくはクラウド経由で納品します。
必要試料量について
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RNA量 |
OD260/280 |
RIN値 |
送付液量 |
total RNA (microRNA含む) |
200ng以上 |
1.5以上 |
8以上 |
10μL以上 |
血清・血漿・各種体液・培養上清・エクソソーム由来RNA (miRNA含む) |
10ng以上 |
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10μL以上 |
RNA抽出する 血清または血漿 |
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400μL以上 |
エクソソーム画分 |
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1mL程度(*1) |
エクソソーム分離後にRNA抽出をし miRNA-Seqをする血清・血漿・培養上清 |
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2mL以上 (孔径0.22µmフィルターでろ過必須) |
*1 抽出後にRNAが10ng以上得られると想定される量をお送り下さい。液量が1mLを超える場合は限外ろ過フィルターなどで濃縮し、液量を調整して下さい。
* RNA抽出の際はカラムを使用し、有機溶媒が混入しないようにして下さい。
* 試料のクオリティチェックには試料を5µL使用します。余裕をもってご送付下さい。
* RNAはDNase処理を行い、DNAのコンタミネーションがない状態の試料をご送付下さい。
* 試料量が上記に満たない場合はお気軽にご相談下さい。
* 採血の際に使用する抗凝固剤はEDTAをお使い下さい。ヘパリン使用の場合には、ヘパリナーゼ処理が必要になります。
* 培養上清からエクソソームを分離して解析を行う場合、FBSにはウシ由来エクソソームが含まれているのでFBSフリーで培養することをおすすめします。
FBSフリーでの培養が困難な場合、ウシ胎児血清中のエクソソームを除去するキットのご利用をおすすめします。
*送付方法は「サンプル送付方法」をご確認下さい。