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野生生物の食性解析 ID: J01480

サービスについて

概要

野生生物の食性調査は糞や胃内容物から、形態観察によって餌生物を推定していました。これには、高度な専門知識と経験が必要であり、また餌が消化されてしまうと形態観察が不可能になるという問題点がありました。
近年注目されているのは、糞や胃内容物から「餌生物由来のDNA」を解析することで、餌生物を推定する方法です。
しかしながら、糞便に含まれているDNAは圧倒的にホスト由来のDNAが多いです。餌生物由来のDNAは、ホスト由来のDNAと比較すると存在量が少なく、また消化によって断片化されているため、DNAを増幅するのが困難です。そのため何も処理しないと、配列データの約70%以上はホスト由来の配列になります。
生物技研では、ホスト由来のDNAの増幅を抑制するブロッキングプライマーを生物種ごとにご用意します。これを用いると餌生物由来のデータの割合が飛躍的に向上し、より信頼性の高いデータが得られます。

解析の流れ

                             
(お客様)サンプルの送付・情報
生物技研から専用チューブを送付致します。糞便や胃内容物(*1)を入れて頂き、冷凍便で送付下さい。また、ブロッキングプライマーの設計を行うため、ホスト生物の学名をご連絡下さい。
ブロッキングプライマーの設計(*2) ホストの生物用のブロッキングプライマーを設計致します。
DNA抽出
凍結乾燥後、ビーズショッカーを用いて凍結破砕を行います。その後、DNAを抽出します。
ライブラリー作製
12S rRNA(MiFish)やCOI領域などをターゲットとして、シーケンスライブラリーを作製します。作製されたライブラリーの濃度と品質を確認致します。
シーケンス解析
Illumina MiSeqを使用してシーケンシング解析を行います。試薬はMiSeq Reagent Kit V3(600cycles)を使用し、2x300bpのpaired-endリードを取得します。
データ解析
DADA2法を用いて、得られたリードをamplicon sequence variant (ASV)にまとめます。ASVとリード数をまとめた表をご提供します。また、データベースの配列と97%以上の相同性があるASVは、種名を併記します。

*1 サンプルの形状等により生物技研で追加の作業が必要と判断した場合は別途料金をいただきます。
  また、サンプルの内容(例えば感染症の有無)によりお断りする場合がございます。
*2 【ホスト(対象の野生生物)由来のデータについて】
  糞便や胃内容物に含まれているDNAは圧倒的にホスト由来のDNAが多いです。
  餌生物由来のDNAはホスト由来のDNAと比較すると存在量が少なく、
  また消化によって断片化されているため、DNAを増幅するのが困難です。
  そのため何も処理しないと、配列データの約70%以上はホスト由来の配列になります。
  生物技研では、ホスト由来のDNAの増幅を抑制するブロッキングプライマーを生物種ごとにご用意します。
  これを用いると餌生物由来のデータの割合が飛躍的に向上し、より信頼性の高いデータが得られます。

解析の具体例

スーパーで購入した魚類の内臓を用いて、食性解析を行いました。
以下に、検出された生物由来のリード数を棒グラフで示します。(fig.1)

納品物

以下のデータをダウンロード形式で納品します。
・報告書
・シーケンス生データ(fastq形式)
・データ解析結果(エクセルファイル)
・DDBJのデータベース登録に必要なデータ

解析系がある生物種

動物(COI)
魚類(cMiFish)*1
哺乳類(MiMammal)*2
節足動物(gInsect)*3
鳥類(gBird)*3、4
二枚貝(gClam)*3
巻貝(gSnail)*3
有尾目<イモリ類とサンショウウオ類>(gSalamander)*3
無尾目(gFrog)*3
環形動物(gWorm)*3
線虫(Ecdysozoa)*3
陸上植物(gPlant)*3
光合成生物(psbA)*3
褐藻(gKasso)*3
紅藻(gKoso)*3
真核生物 (18S rRNA)
底生動物(gBenthos)*3、5
上記以外の生物種についてはご相談ください。
(  )は使用するプライマーセット名または解析対象領域の名称です。

*1 MiFish-U-F/RとMiFish-E-F/R-v2、MiFish-U2-F/R 、MiFish-Ayu&Wakasagi(unpublished primer)を4:2:2:1で混合したプライマーセットです。
*2 生物技研でのテスト解析の結果、脊椎動物全般が検出されています。
*3 生物技研で開発したプライマーセットでの解析です。
*4 鳥類は環境DNAへの移行が少なく、検出が困難な傾向にあります。
*5 節足動物、環形動物、貝(二枚貝・巻貝)、十脚甲殻類が解析対象です。プライマー配列やPCR条件は開示していませんので、あらかじめご了承ください。
gBenthosの解析では、複数のプライマーをミックスして1stPCRを行います(マルチプレックスPCR)。PCRの原理上、存在量の多い生物のDNAは増幅されやすく、存在量の少ない生物のDNAは、増幅されにくくなる可能性があります。

例)サンプル中に貝類のDNAが多数存在し、節足動物のDNAが少ない場合は、PCRを行っても貝類由来DNAばかり増幅され、節足動物由来のDNAがほとんど得られません。この場合、節足動物用プライマー(gInsect)のみでPCRを行うと節足動物由来DNAが増幅されたケースがございます。

ご注文に関して

製品カタログ・リーフレット

参考価格・納期

サービス名 価格(税抜) 納期
野生生物の食性解析 解析:¥20,000/サンプル
ブロッキングプライマーの設計・合成:¥20,000/生物種
20営業日

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