概要
Infinium
® MethylationEPIC BeadChipは、メチル化の専門家が選択した包括的カバレッジ、高スループットを実現し、サンプル数が多い大規模なゲノムワイドのDNAメチル化研究を行うための理想的なソリューションです。また、一塩基レベルの解像度でCpGサイトのメチル化を定量することができるため、エピゲノムの詳細な変化を捉えることができます。
DNAメチル化は、遺伝子発現調節において、重要かつダイナミックな役割を担っています。DNAメチル化には、発生・分化における細胞の特殊化及び分化細胞の安定維持、ウイルス遺伝子や非宿主DNA配列から生じる有害な発現の抑制、そして環境刺激に対する応答機序の付与などの役割があります。また、異常なDNAメチル化(高メチル化、低メチル化)とそれによる遺伝子発現への影響は、癌などの多くの疾患過程に関与しています。
様々なアプリケーションに対応する費用効率の高いDNAメチル化解析を行うために、本サービスでは実績高いイルミナのInfiniumケミストリーとiScanシステムを組み合わせた信頼性の高いメチル化プロファイリングプラットフォームによる解析を提供します。
Infinium® MethylationEPIC BeadChipの特徴
- コード領域からエンハンサー領域まで組み合わせたゲノムワイドなカバレッジ、ハイスループット、低価格を実現
サンプルあたり85万以上のメチル化サイトを1塩基の解像度で解析
- 比類ないアッセイ再現性
繰り返し実験による再現性は98%以上
- シンプルなワークフロー
信頼のInfinium HD Assayを用いた、PCR不要のプロトコール
[包括的でゲノムワイドなカバレッジを持つ搭載コンテンツ]
Infinium
® MethylationEPIC BeadChipは、CpGアイランド、遺伝子、およびプロモーターの比類なき高カバレッジを実現しています。本アレイは、HumanMethylation450K BeadChipに搭載されていたコンテンツの90%以上を含み、これらは広範囲なメチル化サイトを網羅的に解析できる様に選択されています(
fig.1)。
また、潜在的なエンハンサーなどのENCODEプロジェクトによって同定された領域および組織タイプにわたって、FAMTOM5プロジェクトによって同定されたエンハンサーをターゲットにしています(
fig.2)。
Infinium HDテクノロジーでは、メチル化DNAキャプチャー法に伴いやすいバイアスに関連した制限を受けることなく、コンテンツのデザインが可能です。これにより、ゲノムDNAメチル化の全体像でパンエンハンサーやコーディング領域を俯瞰できるため、ヒトの様々な組織を使ったエピゲノムワイド関連解析で使用することができます。この製品は、メチル化の専門家が選択した以下のコンテンツを搭載しています。
・CpGアイランド以外のヒトCpGサイト
・ヒト幹細胞で同定された非CpGサイトのメチル化領域(CHHサイト)
・ヒト腫瘍細胞と正常細胞間で確認された異なるメチル化を示す領域
・FAMTOM5 エンハンサー
・ENCODEオープンクロマチンとエンハンサー
・DNase高感受性部位
・miRNAプロモーター領域
・イルミナのHuman HumanMethylation450 BeadChipに搭載されているコンテンツの約90%
[2種類のInfinium® ケミストリー](fig.3)
Infinium
® MethylationEPIC BeadChipは、業界で最も信頼性が高く、実績あるDNA解析プラットフォームであるイルミナのInfinium
® アッセイを使用しています。Infinium
® メチル化アッセイは、DNAサンプル内の個々のCpGサイトを調べるためにデザインされた、ターゲット特異的な長鎖プローブが結合したビーズを使用しています。DNAメチル化は、バイサルファイト処理したゲノムDNAの定量的ジェノタイピングにより測定されます。InfiniumⅠアッセイおよびInfiniumⅡアッセイが、お互いに補完的にはたらくことにより、広いターゲット領域をカバーします。
- InfiniumⅠアッセイ
InfiniumⅠアッセイでは、1つのCpGサイトに対して、1個の「非メチル化」DNA検出プローブ及び1個の「メチル化」DNA検出用プローブの合わせて2個のプローブが利用されます。各プローブの3’末端は、保護されたシトシン(メチル化デザイン)、またはバイサルファイトによる変換と全ゲノムの増幅によって生成するチミン塩基(非メチル化デザイン)のいずれかにマッチする様にデザインされています。
- InfiniumⅡアッセイ
InfiniumⅡアッセイは、1個のターゲットサイトに対して、1個のプローブのみを使用する様にデザインされています。プローブの3’末端は、検出サイトのすぐ上流の塩基に相補的で、1塩基伸長の結果、「メチル化」Cまたは「非メチル化」Tに相補的な、標識されたGまたはAの塩基がそれぞれ付加されます。InfiniumⅡアッセイは、縮重オリゴヌクレオチドプローブを用いることにより、50merの配列内に別のCpGサイトが存在したとしても、最大3箇所まで存在しても、データに影響を及ぼさず、ターゲットに隣接するCpGサイトのメチル化状態とは関係なく、検出サイトでのメチル化状態を評価することが可能です。
[精度と再現性]
再現性は、繰り返し実験から得られた結果の相関に基づいて決定されています。Infinium
® MethylationEPIC BeadChipは、繰り返し実験間で強い相関を示し(R2>0.98)、全ゲノムバイサルファイトシークエンス結果とも強い相関を示しました(
fig.4)。
Infinium
® MethylationEPIC BeadChipを用いることにより、一貫した信頼性の高いデータを確実に得ることができます。内部検定で得られた代表的なプロットは、繰り返し実験間の強力な相関に加え、全ゲノムバイサルファイトシークエンス結果との強力な相関を示しています。
Infinium® MethylationEPIC BeadChipのData Sheet(PDF)
解析の流れ
- お見積もり
ご希望されるサンプル数などの情報を基に、価格・必要サンプル量などをご連絡いたします。
- サンプル送付
解析サンプルを、QCシートと同封の上、フィルジェンへお送り下さい。
送付された内容物を確認し、AKESOgen社にサンプルを送付します。
* 本サービスは、海外での解析という性質上、サンプルを受け取った以降のキャンセルはお引き受けできません。
ご発送は、代理店へご依頼いただくか、直送願います。
発送の際の送料は、お客様負担となります。(着払いは受け取りできませんので、ご注意ください。)
- サンプルの品質チェック
アガロースゲル、分光光度計などにより、品質(QC:Quality Control)チェック及び濃度測定を行います。
QCチェック結果が良好な場合は、引き続き解析を進めてまいります。
サンプル受領後、QCチェック結果が芳しくない場合は、以下のいずれかを選択してください。
a. 追加の精製/濃縮を行う(追加精製/濃縮で問題が解決される場合)。
この場合、サンプルの精製/濃縮料金が別途必要となります。
b. 再度新しいサンプルをご用意ください。この場合、別途送料(海外)が必要となります。
c. お客様の同意の上、同じサンプルで実験を進めます。ただし、この場合、データの保証はされません。
結果如何によらず、通常料金をご請求させて頂きます。
* 本サービスは、海外での解析という性質上、キャンセルはお引き受け出来ません。
やむを得ない理由で、キャンセルする場合は、それまでの工程に応じた料金をご請求させて頂きます。
- マイクロアレイ解析
以下は、Infiniumアッセイ及び、ハイブリダイゼーション、スキャンニング作業の手順です。
a. バイサルファイト処理
b. 全ゲノム増幅
c. 断片化処理
d. ビーズアレイとのハイブリダイゼーション
e. ポリメラーゼによる伸張反応
f. 蛍光標識
g. スキャンニング
- 解析データのご報告
データ解析結果を、CD-ROM/DVD/USBメモリーなどに収めて、ご報告します。